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『英雄断片』03/07 魔道を志して数年。時々、妙な感覚が訪れる。この世界が「正しくない」ような感覚。「何か道を間違えている」「やり直している」そんな感覚。祖父にも姉にも相談できない。子供の頭では説明がつかない。自分の周りをけらけら笑いながら漂う気配を振り切って、いつか誰かの役に立つように、練習を積む。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』03/06分 翼を手に入れた。これからはこの子が私の相棒。自由に空を飛び回れる。「君と一緒に飛べる日が来るなんて、嬉しいよ」従兄の笑顔にまにかみを返す。私もよ。そう小さく爪弾いたけど、彼には届いているかしら。戦いにゆくのだから、決して喜ばしいことではないけれど、今はこの小さな幸せを噛み締める。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』03/05 「貴女は大きくなったら私のあとを継いで、立派な騎士になりなさい」そう言う母さんが好きではなかった。あたしの道はあたしが決める。やりたいことも、なりたいものも、好きな相手も。母さんだって、今でこそ騎士らしくしてるけど、好きに恋愛してあたしを産んだんだ。あたしだって好きに生きたいよ。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』03/04 神様に祈っても救いなんて無い。本当の家族はかえってこない。そう、恨み言を吐く俺に、養父は言った。「他者を憎めば自分に憎しみが返ってくる。お前のご両親も、そんなことを望まないだろう」聖職者らしい言い様。だけど、反発できない自分がいることに気づく。その言葉が、誰かから欲しかったんだ。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』03/03 お前とお前の兄貴は似てねえな。相手にとってはいつものからかいの延長だったのかもしれない。だけど気づいたら、ぼこぼこの殴り合いになってた。あいつはあいつの兄貴と似てる。おれは兄貴と似てない。おやじにも似てない。それに触れられることがいやなんだって、腫れたほおを冷やしながら気づいた。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』03/02 お前さんの髪の色は珍しいねえ。そう、しらないおばあさんに言われました。銀色なんて、『りゅうぞく』にしかない色だよ。お前さんはどこでそれを。そこまで言ったところで、おばあさんの娘さんらしきおんなのひとがあわてて飛んできて、わたしに頭を下げながらおばあさんをつれていきました。なんで? #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』03/01 春が来て、子供らが歓声をあげながら家の外へ飛び出してくる。そいつらを集めて、木の棒を握らせた。いつかこの子たちを戦場に送り出す為に、剣を覚えさせることを目的に。終わらない冬は無い。いつか必ず雪融けがやってくる。自分たちはそう綺麗事を唱えて、罪の無い世代にも血を被れと言うしか無い。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/29分 強情な王も、魔法で呪詛をかけるまでもなく、言葉による籠絡でおちた。最早私を止める者などこの大陸にはおるまい。「そうかしら?」生まれたての娘をあやしながら妻が笑う。「そうやって傲っていると、すぐに足元をすくわれるわよ」彼女は未来が「視えている」。それでも反逆せずにはいられないのだ。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/28 王の側近が処刑された。陛下の様子がおかしい。帝国の使者が現れてから、元々荒い気性が更に激しくなり、周囲に当たり散らしたかと思えば、突然虚空を見て独り言を洩らすのだ。そう、私に不安を吐露してきた矢先だった。誰が黒幕かはわかっているのに証拠が無い。この国に暗雲が立ち込めるのを感じた。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/27 わたしの家は代々、王家に仕える騎士家系だった。だからわたしも大きくなったら騎士になるものだと自然に思っていた。強き王の娘である王女様は、わたしとそう変わらない年齢なのに、緋色の翼を駆って空を舞う。その美しさにひどく惹かれ、決意した。この方の隣を飛ぶのに見合う翼持つ騎士になろうと。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/26 我が旦那様は不思議なかたで、どうしようもない小悪党だった自分を部下として育て上げてくださった。奥様が世界の先行きがある程度「視える」ひとだったというのが、元の理由だ。「この子も未来に必要です」そう旦那様に言ったらしい。この世には不思議なひとが多い。まあ、他人のことは言えないけど。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/25分 「あなたのお父様は強い人よ」城下街の裏通りの古いお店でオムライスを一緒に食べながら、母は微笑んでいた。「だけど、強すぎて見えないことが沢山あるの。あなたが大きくなったら、それをたしなめてあげて」私にはその意味がよくわからない。まだ子供だから?大人になったら、見えてくるのだろうか。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/24 傾きかけた国を建て直した。その自負がある。だから侵略者どもには屈しない。城のバルコニーに出て、堂々と立ち、声を張って集まった群衆に呼びかける。雄々しくあれ、頼もしき我が民たちよ。正義は我らにあり。たちまち熱気に包まれた歓呼がわき起こる。娘よ。この背中を見て、お前も強くあってくれ。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/23分 集落の入口に人が倒れている。それだけで人々は大騒ぎになった。帝国の支配があっても、こんな辺境までは飛び火しないと平和ボケしていたツケが回ってきたのだ。もう息をしていない傷だらけの身体を回収する。剣を帯び、左手の薬指に指輪をしていた。帰る場所があっただろうに。小さく祈りをささげた。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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『英雄断片』02/22 ぼくの好きな子は、ねこが好きらしい。ふだんはおすましして、まじめです、って顔をしているんだけど、子ねこをだっこした時のえがおといったら、見たことがないくらいとろけてた。そんなかのじょは、いとこの男の子といっしょにいると、同じようなえがおをする。それを見てると、なんかむねがいたい。 #一次創作小説 #ファンタジー小説 #140字ss
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