CW:
アガルタに星はこない

やっぱ、この世界って間違っていませんか?
人間が穏やかに生きている世界で、自分も人間として穏やかに生きていたいだけなんですよ。
自分が後回しになってしまっているのは、そうせざるをえなかった育成環境と植え付けられてしまっているプログラム故の弊害なんで今すぐどうするは出来ないんですけど。それはそれとして、自分のことを主体で考えてしまう思考も幼き頃で時が止まってしまっているカナンですら持ち続けているから……余計に思っているんだよね。人間は穏やかに生きててほしいよ。頼む。
元々HO1にとってHO2が特別とかそんなことは一切言わないんだよ。人によっては全然HO1がHO2を特別視することはないだろうからさ。うちの子だって、出会いや今の生活が違っていたらHO2のことを特別に思ってないと思うから。
人間は誰であれ等しく争いのない穏やかに生きられる世界で生きていてほしいと思ってる。小競り合いや戦争が起きてしまう欲望と思考は理解できる。でも、妥協点を探すことの大切さや然るべき倫理観は人間として生きる上で必要不可欠だと思っている節がどこかにある。これは思想。
それがあるが故に、ある程度穏やかさを担保するために切り捨てる必要はあるという矛盾の中で生きているんですよ。結果として、『穏やかな世界で生きたい』が結論の目標に来てるわけじゃないんです。『争いの終わった世界で、自分が人間として自分が穏やかに暮らしたい』んですよ。その為に世界を変えたいと思ったし、あの場所を逃げ出したし、自分の世界の中で不穏因子が沸き起こったときは対処に走るんです。これは人間でありたいという欲から生まれた、最後の『人間としての形を維持できた感情』に他ならないんですよね。カナン的にもこれが後付けだと分かっているけど、自分を納得させるための崩せない芯の部分として確立させてしまっているんだよ。他人から見たら歪だろうけどさ。人間として生きる最後の希望がこれだったんだよカナンにとっては。
だから自分含め、ある程度の人間が穏やかに生きられる世界がほしいと思い続けてるんです。人間は人間として大事だから、戦地に立って自分の命の在り方を変えられる存在たちは除いたとして、基本的にはマイナスな感情を向けていないんですよね。
ただ、人間として生きるために逃げた先で久方ぶりに人間として接してくれたのがユニちゃんだったから、ユニちゃんが特別になってしまっていたんですよ。ユニちゃんを大事にしたくて、ユニちゃんが傷つくのが嫌で、ユニちゃんを出来るならば護りたいんです。自分にその役目、やらせてください。
でも、自分の存在が彼女にとっての傷になりたくはないから、彼女の傷になるくらいなんだったら傷にならないほどの温かさで包んで最後の瞬間をあげたいんです。この世界に絶望し続けた人たちの溜まり場があの場所だろうから、あの場所にいる人たちが絶望しているのを見続けるのは嫌です。その中で、『特に君が』と思えたのが君なんだよユニちゃん。君が絶望するくらいだったら、君の心が一番穏やかな時に君の気の済む方法で君の人生かこの世界を手にかけてあげたいんだ。
きっと、今まではそう選択することすらさせてもらえなかったから。余計にそう思ってしまうんだよね。
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