▼ シオダマリ電子スケブお題:
「マフィア、あるいは殺し屋の『仕事』シーン」
▼執筆文章:RP描写×3選考
①
刹那の時は、短い。
そう理解した。察した。判ってしまった。
──もう遅い。
音は同時であり、時は過ぎ去った。
生者はマリオネットに成り果てた。
操る意思もなく転がるのは愚者。
カーテンカラーが幕を下ろしたことを証明する。
誰かが「向かいのビルだ」と叫ぶ。
それも分かっている。
何もかもを把握した。
なのに、君は動けないでいるだろう。
それは、アナタの大事な人が何者かに殺されたことを受け入れることができなかったからか。または呆気なさに身体が戸惑ったからか。
②
ネズミが迷い込む路地裏。
餌を求めて嗅覚を頼りにネズミが動き回っていると、くん、と酸味がかった臭いを感じ取った。
何か気配がする。何か臭いがする。何か居たような気はしなかったのに。でも何かを感じる。狂気。恐怖。──否、脅威だ。
背を伸ばし、耳を立て、息を殺す。そしてネズミが敵意の居場所を掴んだ瞬間、ブチっと風船が弾けるような音がした。
「なぁんだ。ネズミか」
潰れたネズミと、頭の飛んだ大きなドブネズミを見比べて猫は目を細めた。大きさは違えど、死体になってしまえば大差ないもんだなと軽口をこぼしながら。
③
「こんばんは」
やけに明るい声だった。
まるで幼馴染に声をかけるような。
まるで登下校中の気軽さのような。
まるでのどかなワンシーンを彩るような。
軽やかで、楽しげで、ハキハキと。
室内の電力が落ちて真っ暗でなければ、おおよそどこにでもいる学生を連想する声色だった。
「お初にお目にかかります。梟と申します」
何か振るった音が聞こえた。
冷たい。冷たい、冷たい、違う、熱い。熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い腕の先が冷たくて熱くて鋭く何もなくて冷たくて、
「次。首にしますね」
首の後ろから聞いたことがない嫌な音がした。
#卓すきマルシェ「シオダマリ」